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ちめいのけんきゅう

地名の研究

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁

青空文庫

その中にはいろいろの原因の組合せからあるいは新しい名に人望が集まり、あるいは依然として古い名を記憶していることもあって、結局同じような地形に向って新旧種々な地名が生じ一人旅の地理学者が即座に地名の意味を会得することができるという点においては、とうていわが北方の同胞に及ばぬこととなり、さもさも物体の特性を弁別する才能を欠く者のごとく批評せらるるに至ったのは是非もなき次第である。

地名とはそもそも何であるかというと、要するに二人以上の人の間に共同に使用せらるる符号である。これが自分の女房子供であるならば、我々は他人をして別の名称をもって呼ばざらしめる権利を有っているが、その他の物名になると、どうしても相手方の約諾を要する。早い話がわが家の犬ころでも、せっかくハンニバルとかタメルランとかいう立派な名を附けておいても、お客は断りもなくその外形相応にアカとかブチとか呼んでしまう。ゆえに一部落一団体が一つの地名を使用するまでには、たびたびそこを人が往来するということを前提とするほかにその地名は俗物がなるほどと合点するだけ十分に自然のものでなければならぬのである。