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ちめいのけんきゅう

地名の研究

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁

青空文庫

を精読してもらうの他はない。たった一つだけ私たち外部人の気づいたことを言うと、この県下は一帯に尾州藩領と否とを問わず、定納という地名の多いことである。経済史の上から見て、これなどはかなり大切な事実と言ってよい。定納はまた他の地方では定免ともいっている。年の豊凶によらず、毎年定額のやや低い年貢を納めさせる土地ということで、地方の書物を読んでみると、幕府領でもこれが普及したのは江戸中期、享保の頃からであった。最初は強制せずに人民の願い出でに任せ、平作の年には目に立つほどの割引がある代りに、悪い年でも断じて減免を請求せぬことを言明せしめたが、その点が不自然なので実は十分には行われなかった。

すなわち保険なり貯穀なり、はた農事の改良なりで、不作の災厄を最小限度に止めるだけの力がないと、うかと定納にしてもらうと官民いずれかが困ったのである。だから財政の安全と検見入費の節約という明らかな利益があるにもかかわらず、明治の地租条例の時までこの制度を全国化することができなかったのである。しかるにこの地方は山間部の劣等地にも、海沿いの新田場にも、ともに定納の方式が地名になるまで確立している。