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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
同 阿哲郡矢神村大字矢田字道免小字一窪田
美作真庭郡勝山町大字山久世字土居ノ前小字一窪田
美作真庭郡二川村大字黒杭字下前田小字ヒトクボタ
また二窪田・三窪田もある。また一区田もある。これらの地名と同じとすれば、一鍬田の説明はさして困難ではないと思う。
しかしながら田は元来平遠の地を撰んで設けられるのを常とする。多くの水田開拓には必ず共営を必要とし、少なくとも数戸数十戸の労力を合せ用いるから、孤立した田なるものはやや奇異と考えられる。従ってかかる地名の頻々として用いらるるに至ったことは、なお一段の解説を待たねばならぬ。私にいわせるならばかくのごとき奇現象こそは、すなわちこの地名の生ずべき原因であったかも知れぬ。稲田の新開が湖沼を埋め立て、あるいは山下の緩傾斜を平らかにして、一時に大面積の経営をなすのはもと水利の力であって、溝を引き池を包んで灌漑の手段を求めるのは、とうてい一家数反の田を作ろうとする者のよくするところではないからである。乱を避けて山に入りあるいは地頭の苛酷を遁れようとする者の、最も不便とするところはこの点にあった。窮冬には粟・ハシバミなどの実を食い、粟・芋の類を栽培して命を繋ぐにしても、歳旦月朔の神祭には、神も人も何とかして白い米を食わねばならぬ。