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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
となる。また同じ気山の内の福浦区には十三の字があって、是福浦、従福浦、気福浦、山福浦、領福浦、番福浦、号福浦、始福浦、苧福浦、村福浦、便福浦、理福浦及び吉福浦というので、注意して見ると「これより気山領の番号始め苧村便理吉し」と読める。また神田とか八田とかいう地名は昔からいくらもありそうな地名であるが、摂津有馬郡藍村大字下相野の同地名はその由来が少々違う。すなわちこの村の字を列挙すると字文明田、字開化田、字敬田、字神田、字愛田、字国田すなわち「文明開化敬神愛国」を田の上に分配したのである。また八田の方は字明田、字治田、字八田、字年田、字天田、字地田、字人田で「明治八年天地人」などを分けたので、地租改正の際の改称であることがよくわかる。それから加賀の石川郡の出城村大字成の字は、字維、字新、字以、字来、字文、字明、字開、字化というのであり、いずれも無造作の中に著しくあの時代の生活趣味を現わしているのが面白い。
これらは少々極端の例であるが、村または大小字の分合に際し新たに土地相応の命名をしたことはきわめて少なく、これに反して地名の使用を止めて地番号を用い三けた四けたの数字をもって所有地を呼ぶようになったのはまさしく近世の事業である。