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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
それから今一つ真の突発的の、他ではいっこうに聞いたことがないというものがあって、それに何人も気を取られるのであるが、これには何か特殊な事由があったとすれば、強いて知ろうとしても急に判りもすまいし、あるいは実際はさして珍しい例でもなかったとすれば、後においおい知れて来るだろうから、とにかく当分はそっとしておいてよい。前の二通りのものだけは幸いに類例が多いのだから、その共通の点を押えて行きさえすれば、次第に命名の趣意を明確にし得るだけでなく、さらに進んでは日本にはいたって乏しいものと認められている若干の地形語を、今において復活利用し得る見込みさえあるのである。私などの最初の期待では、これほど繁雑を極めた固有名詞だから、これを構成する普通名詞の数も、また相応に豊富なものであろうと思っていた。ところが表にこしらえてみた結果、それが存外に少なかったのでがっかりした。
我々日本人がその利用地名を作るために、古くから使っていた単語の数は、地方の隅々に近世になってから使い始めたものまで合せても、せいぜい百余り、百五十にはまだ届かなかった。それにいろいろのありふれた形容詞を副えて、この全国の利用地名の半分ばかりこしらえ、それがまた踏襲せられて占有地域の地名ともなっていたのである。