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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《地名の研究(ちめいのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,308 字 · 347 頁
日本は地形の珍しく複雑な国で、これを経営した国民の態度なり方法なりも、時代によって変化し、従って名の付け方も各地一様でないのだが、中央の学界へはその事実が、ただ一部分しか知られていなかった。旅行のあまり得意でなかった京都の文士たちには、入用もなくまた見たこともないという地形語が、昔からかなり多かったようである。『倭名鈔』の山谷類や林野類などの中にいまだかつて想像せられず、『新撰字鏡』の山扁やサンズイの中に採録せられてもいないいろいろの地形が、田舎にはちゃんと語ができて弘く用いられており、またその言葉にも永い歳月の間に、少しずつの地方的異同を生じた。書物を読んでいただけではこういう地形語は解しがたい。それゆえにやはりそれぞれの実地に就いて、まずその方言の内容を学ばなければならなかったのである。しかし方言とはいっても、知らぬのは中央の文筆の人だけで、地方はどこへ往っても通用しているものがあり、中にはまた中部とか九州とかだけならば、誰でもよく知っているという語がある。これは地理学の要求から言っても、将来必ず標準語として採用し、我々の語彙を豊富にしなければならぬものである。