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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁
あくまでも無邪気なお姫様式、若様式のお伽恋物語ばかりだった。
小波がお伽噺に筆を染めたのは随分古い事で、二十一年十二月発行の『我楽多文庫』第十三号から「鬼車」というメールヘンの飜訳を連載したのがそもそもの初めであった。小波の無邪気な筆が恋物語よりはかえってお伽噺に適していたはその頃から見えていた。
が、小波はお伽噺を一生の仕事とするツモリは少しもなかったのだ。それから数年を経、博文館に入ってから『新桃太郎』や『猿蟹後日合戦』を書き、『少年文学』の第一巻として『黄金丸』を発表した頃、「漣もお伽噺ばかり書いてるようでは最うお終いです、その内には必ず本統の小説を書きます」と、或時私に語った事があった。ところがその頃は筆休めに過ぎなかったお伽噺が予期以上に歓迎され、教育界から頻りに頌徳表を上つられ、四囲の事情もまた風俗壊乱に問われがちな小説を作るを許さなくなったらしく、次第に小説よりはお伽噺に傾いて、独逸から帰朝して以来は終に全くお伽噺に没頭し、著述以外に講演をも初めて通俗教育の旗幟を建て、博文館を引退してからは文壇よりもむしろ教育界に近い人となってしまった。