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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁
十二 『其面影』と『平凡』
こういう方面に専ら力を注いだなら新聞記者としてもまた必ず前人未拓の領土を開き得たろうと、朝日の僚友は皆二葉亭が一度ぎりでこの種の試みをやめたのを惜んでいた。が、二葉亭はかえってこれを恥じて、「あんな軽佻な真似をするんじゃなかったっけ、」と悔いていた。
十二 『其面影』と『平凡』
その中に戦争は熄んだ。読者は最早露西亜や満洲の記事には飽き飽きした。二葉亭の熱心なる東露の産業の調査は益々新聞に向かなくなった。そこで三山初め有力なる朝日の社員は二葉亭をしていよいよ力を文学方面に伸ばさしめようと百方勧説した。その度毎に苦い顔をされたが、何遍苦い顔をされても少しも尻込しないで口を酸くして諄々と説得するに努めたのは社中の弓削田秋江であった。秋江は二葉亭の熱心なるアドマヤラーの一人として、朝日の忠実なる社員として、我儘な華族の殿様のお守りをするような気になって、気を長くして機嫌を取り取りとうとう退引ならぬ義理ずくめに余儀なくさしたのが明治三十九年の秋から『朝日』に連載した『其面影』であった。続いて翌年の十月は『平凡』を続載して二葉亭の最後の文藻を輝かした。この二篇の著わされたのは全く秋江の熱心なる努力の結果であった。