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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁
三 得意の絶頂
)精々が四室かそこらの家であったが、書斎を兼ねた八畳の座敷の周囲に大小の本箱を積み重ね、ギッシリ塞った和漢洋の書籍が室内を威圧していた。今考えるとそれほどの蔵書ではなかったが、二本立ちの本箱の一つしか持っていなかったその頃の私の眼には非常な大蔵書家であるかのように映った。殊に函入の『源氏物語』や上海版の函入の石印本などが馬鹿に光って無知な書生ッぽの私を驚かした。
その頃の私は文学よりは経済に志ざしていた。が、小説は好きで新刊も旧刊もかなり広く読んでいた。外国小説も語学の研究かたがた少しは見ていた。専門小説家がドレホド広く読んでいたかは知らぬが、読書の量はそれほど負けているとは思わなかった。が、その晩の美妙斎の談が古今東西に渉ってかつて聞いた事もない作家の名を五つも六つも聞かされたには我を折って、自分よりも二つも三つも年下に見えるコンナ若々しい青年がドウしてこんなに博識かと煙に巻かれて降参してしまった。どんな話をしたか、この時の談話はスッカリ忘れてしまったが、古今東西に渉った博覧に煙に巻かれてしまった事だけを記憶しておる。
三 得意の絶頂
その頃徳富蘇峰、朝比奈碌堂、森田思軒の三人が新らしい文人の会合を思立って文学会を組織した。