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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁

青空文庫

四 俗曲趣味

実業熱が長じて待合入りを初めてから俄かにめかし出したが、或る時羽織を新調したから見てくれと斜子の紋付を出して見せた。かなり目方のある斜子であったが、絵甲斐機の胴裏が如何にも貧弱で見窄らしかったので、「この胴裏じゃ表が泣く、最少し気張れば宜かった」というと「何故、昔から羽織の裏は甲斐機に定ってるじゃないか、」と澄ました顔をしていた。それから、「この頃は二子の裏にさえ甲斐機を付ける。斜子の羽織の胴裏が絵甲斐機じゃア郡役所の書記か小学校の先生染みていて、待合入りをする旦那の估券に触る。思切って緞子か繻珍に換え給え、」(その頃羽二重はマダ流行らなかった。)というと、「緞子か繻珍?――そりゃア華族様の事ッた、」と頗る不平な顔をして取合わなかった。丁度同じ頃、その頃流行った黒無地のセルに三紋を平縫いにした単羽織を能く着ていたので、「大分渋いものを拵えたネ、」と褒めると、「この位なものは知ってるサ、」と頗る得々としていた。

四 俗曲趣味

二葉亭は江戸ッ子肌であった。あの厳しい顔に似合わず、(野暮を任じていたが、)粋とか渋いとかいう好みにも興味を持っていて相応に遊蕩もした。