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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁
紅葉勃興当時の文壇は各々私交はあっても団体的に行動する事はなかった。春廼舎の起つや半峰居士は伯牙における鍾子期の如くに共鳴したが、早稲田は決して春廼舎を声援しなかった。二葉亭と嵯峨の屋とは春廼舎傘下の寒山拾得であったが、その運動は離れ離れであった。美妙は硯友社の一人であったが、抜駈の功名に逸って終に孤立してしまった。が、紅葉は早くも孤立の力なきを知って、初めから百名以上の応援隊を率いて起ち、固く結束して団体的に文壇を開拓し、進退行蔵を総て侶にして自家の勢力を扶植した。
当時文壇は全く旧作家に飽いて新作家を迎うるに鋭意していたから、多士済々たる硯友社は忽ち章魚の足のように八方に勢力を伸ばし、新聞社に雑誌社に出版人にそれぞれ多少の関係を附けざるはなかった。その上に固く結束して互に相援引し、応援するにも敵対するにも一斉に起って進退緩急の行動を侶にした。歩武の整然として訓練の能く行届いたは有繋に紅葉の統率の才の尋常でなかった事が解る。硯友社はこの全体の力で常に文壇に衝ったから、一時硯友社はあたかも政友会が政界に跋扈したように文壇を壟断して、操觚者も出版者も新聞雑誌社も硯友社に拠らざれば文壇の仕事は何一つ出来ないような形勢となった。