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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁

青空文庫

当時抱一は万朝報社に在籍して黒岩の秘書のような関係であったが、読売新聞社から紅葉を朝報社へ引抜こうという献策をして、黒岩の内意を承けてその斡旋方を私に持込んだ。

当時紅葉は私を忌避してイツ尋ねても居留守を遣い、途中で会っても碌すっぽ口を利かないという場合であったから、事情を話して私の仲介ではとても駄目だと断わった。が、抱一は何といっても肯かないで、「自分の口からは言い兼ねるし、自分が言出したのではとても承知しそうもないが君なら必ず紅葉を口説き落せる、」と頻りに迫って承知しないので、紅葉が読売の待遇に不平である内情も聞込んでいたので、そんなら黒岩と直接談合してからと、抱一と同道して黒岩を訪問し、精しく招聘の条件を相談してから改めて紅葉に会見を申込んだ。

当時紅葉は私に対して何時でも不在と称して面会を避けていた。蛇蝎の如くでないまでも蚰蜒ぐらいには嫌っていた。その時の返事も突然の会見申込をお辞儀をして原稿の周旋でも頼む用事と早呑込みしたものと見えて、その頃私が産業界に首を突込み掛けていたので、夙に実業に雄飛せんとする君がこの陋巷の貧乏文人に何の求むる事があるかというような頗るイヤ味タップリなものだった。