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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁
が、その翌る日も、そのまた翌る日も魔子は相変らず遊びに来た。児供の事で周囲の不安には一向感じないらしく、毎日来ては家の児供と一緒に歌を歌ったりダンスをしたりして無邪気に遊んでいた。大杉の家もヤヤ人出入が繁く取込んでるらしく想像されたが、安成もそれぎり見えないので、不安を感じながら身辺の雑事に紛れていると、或時魔子がイツモの通り遊びに来ていると家から迎えが来て帰った。暫らくすると復た来て、新聞社の人が来て写真を撮ったのよといった。新聞社が児供の写真を撮りに来たというは尋常ではないので、恐ろしい悲痛な現実に面する時が刻々迫って来たような感じがした。
その翌日である、大杉の非業の最期が公表されたのは。恐ろしい予感が刻々迫って来て、こういう悲惨を聞く日があるのを予期しない事はなかったが、その日の朝刊の第一面の大活字を見た時は何ともいい知れない悸きが身体中を走るような心地がした。殊に軍憲から発表された大杉外二名の一人がマダ可憐な小児であると思うと、三族を誅する時代の軍記物語か小説かでなければ見られない余りの残虐に胸が潰れた。
朝の食卓は大杉夫婦を知る家族の沈痛な沈黙の中に終った。