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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁

青空文庫

下司な所為は決して做なかった。何処の家の物でなければ喰えないなどと贅をいっていた代りには通人を気取ると同時に紳士を任じていた。

奥井から壱岐殿坂へ移って、紳士風が抜けて書生風となってからもやはり相当に見識を取っていて、時偶は鄙しい事を口にしても決して行う事はなかった。かつ中学へ通う小さい弟(今は医学士となっている)と一緒に暮していたから自然謹慎していた。緑雨の耽溺方面の消息は余り知らぬから、あるいはその頃から案外コソコソ遊んでいたかも知れないが、左に右く表面は頗る真面目で、目に立つような遊びは一切慎しみ、若い人たちのタワイもない遊びぶりを鼻頭で冷笑っていた。或る楼へ遊びに行ったら、正太夫という人が度々遊びに来る、今晩も来ていますというゆえ、その正太夫という人を是非見せてくれと頼んで、廊下鳶をして障子の隙から窃と覗いて見たら、デクデク肥った男が三枚も蒲団を重ねて木魚然と安座をかいて納まり返っていたと笑っていた。また或る人たちが下司な河岸遊びをしたり、或る人が三ツ蒲団の上で新聞小説を書いて得意になって相方の女に読んで聞かせたり、また或る大家が吉原は何となく不潔なような気がするといいつつも折々それとなく誘いの謎を掛けたり、また或る有名な大家が細君にでもやるような手紙を女郎によこしたのを女郎が得意になってお客に