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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁

青空文庫

かかる書類に眼を労らせ肩をはらし命をり取られて一世を送るも豈心外ならずや」云々とあるは当時の心事を洩らした述懐であって、二葉亭はこの文章上の困難に一と通りならない苦辛をみた。とりわけ自己を批判するに極めて苛酷な人の癖として十目の見る処『浮雲』が文章としてもまた当時の諸作に一頭地を挺んずるにもかかわらず、深く自ら恥じかつ懼れて「自分には小説は書けない、自分は文人たる資格がない」とまで気を腐らせてしまった。

かつまた二葉亭のためには文学それ自身よりは根本の人生問題の方が重大であった。ツマリ人生のための文学というが、そもそも人生をどうしようというの乎。人生の帰趣とか目的とかいうものが果してあるのだろう乎。安心とか信仰とかいうものが果して得られるのだろう乎。知識で究めるのは果しが着かないというなら、科学や哲学に何の権威がある乎。科学や哲学で究めても解らないものなら文学や宗教でどうして満足出来る乎。そんな疑問が推究すれば推究するほど後から後から後からと生じて終には文学その物の価値までが危なっかしくなり、ツルゲーネフやドストエフスキーの後光が段々薄くなり出すと、これらの文豪に比べて遥に天分薄い日本の文人亜流――自分もその一人として――の文学三昧は小児の飯事同様の遊戯であって、人生のための文学などとは片腹痛い心地がし