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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

線上閱讀内田 魯庵《新編 思い出す人々(ふたばていよだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 頁

青空文庫

を救うの教師を自任し、細さに下級の生活状態を究めて種々の自己流の精神医療の方法を案出して試みた。尤もこの試みは大抵失敗して、傍観者からは頗る滑稽に思われた事もあったが、当人自身は一生懸命で、この失敗を来す所以は畢竟科学の素養を欠くから応病与薬の適切な方法を案出する事が出来ないのだと考えて益々研究に深入した。一時はその手段の一つとしての禅の研究を思い附き、『禅門法語集』や『白隠全集』を頻りに精読し、禅宗の雑誌まで購読し、熱心鋭意して禅の工風に耽っていた。が、衛養療法や静座法を研究する意で千家の茶事を学ぶに等しい二葉亭の態度では禅に満足出来るはずがないのが当然で、結局禅には全く失望した。禅は思想上のキューリオ、精神上の催眠剤であって、今日の紛糾錯綜入乱れた文化の葛藤を解決し制馭する威力のないものであるというのが二葉亭の禅に対する断案で、何かの茶咄のついでに一休は売僧、白隠は落語家、桃水和尚はモーズレーの研究資料だと茶かした事があった。

結局書斎の研究ばかりでは満足出来ないで、学者の畑水練は何の役にも立たぬからと、実際に人事の紛糾に触れて人生を味おうとし、この好奇心に煽られてしばしば社会の暗黒面に出入した。