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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

開門開門とわめき立てい」

「………?」

「大事ない。天下の御直参が申し付くるのじゃ。心配せずと、いずれも一世一代の声をあげて呼び立てい」

「面白れえ。やッつけろ」

乗るのを待って、さッと肩にすると、掛け声もろとも威勢よく、さき程のあの所司代番所門前に風を切って駈けつけながら、ここぞ一世一代とばかり、口々わめき立てました。

「早打ちだッ、早駕籠だッ」

「江戸お公儀からの早駕籠でごぜえます」

「開門! 開門! 御開門を願いまあす!」

「江戸表からの御用駕籠だッ、お早く! お早く! お早く! 開門を願います!」

「なにッ――」

声をきいて、慌てふためきつつ物見窓から顔をのぞかせたのは、先刻のあの二人です。

「しかと左様かッ。たしかに江戸お公儀からの急飛脚でござるか」

「たしかも、しかもござんせぬ! この通り夜道をかけて飛んで来たんでござんす! お早く! お早く! 早いところ開門しておくんなせえまし!」

「いかさま替肩付きで急ぎのようじゃな! 者共ッ、者共ッ、開門さッしゃい! 早く開門してあげさッしゃい」

打ちうろたえながらギギギイと観音開きにあけたのを、編笠片手にぬッと駕籠の中から、ぬッと悠々と姿を見せたのはわが退屈男です。