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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

「当職所司代は名判官と承わる。これなる四人の公盗共が掠めし珠数屋の財宝財物を御糺問の上、すみやかにお下げ渡し然るべし。江戸旗本早乙女主水之介、天譴を加えて明鑒を待つ」

ぺたりとその血書の一札を磔柱に貼っておくと、

「いかい御雑作に預かった。これなる四本の片腕は弥太一への何よりな土産、遠慮のう貰うて行くぞ」

血のまま四本を袖ごとくるんで、小気味よくも爽かに歩み去ると、表に待ちうけながらざわめいていた裸人足のひとりを招いて、いとも退屈男らしく命じました。

「ちと気味のわるい土産じゃが、早々にこれを島原の八ツ橋太夫に送り届けい。弥太一へ無念の晴れる迄とくと見せてつかわせと申してな。それから、今一つ忘れずに伝えろよ。縁があらばゆるゆるとか申しおったが、東男はとかく情強じゃほどに、深入りせぬがよかろうぞとな。よいか。しかと申し伝えろよ」

言い捨てると、さてまた退屈じゃが何処へ参ろうかなと言わぬばかりに、ぶらりぶらりと的もなく更け静まった都大路を、しっとり降りた夜霧のかなたへ消え去りました。