輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁
――はッと思って見眺めた刹那! 揉手はしているが眼の配りが尋常でない。腰もいんぎんに低めているが体の構えにも隙がない。しかし、そう見えたのは気のせいだったか、僻目だったか、番頭は人のよさそうな顔つきでにこにこしながら退屈男の傍へ近づいて来ると、物軟かに言いました。
「折角お越しなさいましたのに、宿がのうて御困りでござりましょう。およろしかったら手前のところにどうぞ――」
「………?」
「いえ、あの決して胡乱な旅籠ではござりませぬ。遙々御越しなさいました旅のお方が御泊りの宿ものうては、さぞかし御困りと存じまして申すのでござります。およろしかったら手前のところでお宿を致しまするでござります」
言うのを黙然として退屈男はじッと見守りました。やはり気のせいでもない。僻目でもない。番頭のまなざしのうちにはたしかに鋭い嶮があるのです。咄嗟のうちにそれを看破った主水之介の眼光も恐るべきだが、しかし男はさらに巧みでした。どう見ても人のよい番頭としか見えぬような、物軟かさでいんぎんに腰を低めながら促しました。
「いかがでござりましょう! お殿様方に御贔屓願いますのも烏滸がましいようなむさくるしい宿でござりまするが、およろしくば御案内致しまするでござります」