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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

居合わした二十名近くの藩士達が、いずれもプツリプツリと鯉口切りつつ、それが最初からの手筈ででもあるかのごとくに、じりじりと主水之介の周囲を取り巻きました。

「ほほう、おいでじゃな。何かは知らぬが退屈払いして下さるとは忝けない。しかしじゃ。十箭のうち五本も射はずすナマリ武士が、人がましゅう鯉口切るとは片腹痛かろうぞ」

「言うなッ、ほざくなッ」

つつうと進み出ると、噛みつくように言ったのは擬い鎮西八郎のあの大兵漢です。

「広言申して、ならばおぬし、見事に十本射当てて見するかッ」

「身共かな」

「気取った物の言い方を致さるるなッ。射て見られいッ。見事射当てるならば射て見られいッ」

「所望とあらばあざやかなところ、見物させてとらそうぞ。あるじ! 弓持てい」

然るにそのあるじ英膳が奇怪でした。仲裁でもするかと思いのほかに、用意をしながらにやりにやりと薄気味わるく笑っているのです。ばかりではない。溜漆重籐飾り巻のけっこうやかなひと張りを奥から持ち出すと、ギラリ、目を光らしながら小声で囁きました。

「早乙女の御前。昔ながらのお手並、久方ぶりで存分に拝見致しまするでござります」