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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

朝に咲き匂う白梅のりりしさも、遠くこれには及ばない程のすばらしさでした。しかも、構え取ったと見るやたった一合、名もなき門弟なぞ大体物の数ではないのです。

「胴なり一本ッ。お次はどなたじゃ」

爽やかな京弥の声が飛んだとき、すでに対手はタンポ槍をにぎりしめたまま、急所の脾腹に当て身の一撃を見舞われて、ドタリ地ひびき立てながらそこに悶絶したあとでした。

「稚児の剣法、味をやるなッ。よしッ。俺が行くッ」

怒って入れ替りながら挑みかかったのは、先程取次に出て来た名もない門人でした。

「ちと荒ッぽいぞッ。どうじゃッ。小わっぱ、これでもかッ」

力まかせに繰り出して来たのを、軽く払って同じ脾腹にダッと一撃!

「いかがでござる。お次はどなたじゃ」

涼しい声で言いながら、莞爾として三人目の稽古台を促しました。

「いい男振りだ。おどろきましたね」

武者窓の外からそれを見眺めて、悉く舌を巻きながら感に絶えたように主水之介に囁いたのは、峠なしの権次です。

「あれ程お出来とは存じませんでしたよ。まるで赤児の手をねじるようなものじゃござんせんか。いい男振りだ。実にいい男前だね。前髪がふっさり揺れて、ぞッと身のうちが熱くなるようですよ」