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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

開基は了誉上人、始祖家康の生母がここに葬られているために、寺領六百石を領して、開山堂、弁財天祠、外久蔵主稲荷、常念仏堂、経堂、無縁塚坊舎が三カ寺、所北寮が百軒、浄土宗関東十八檀林中の随一を誇るだけあって、広大壮麗言うばかりない大伽藍です。

「ここからはお乗物さし止めでござりますゆえ、お拾いにてどうぞ。手前御案内いたしまするでござります」

山門のまえで乗物をとめさせて、心得顔に小侍はさきに立ちながら、しんしんと静かな境内の中へ這入りました。

場所が寺です。

墓のあるお寺なのです。

もしやもうお墓に!……。

「まてッ!」

京弥は抑え切れぬ胸騒ぎを覚えて、するどく呼びとめました。

「われら、御前のむくろや新墓検分に参ったのではない。不埓な振舞いいたすと容赦はせぬぞ!」

「どうぞお静かに。ご案内せいとの主人言いつけでござりますゆえ、手前は只御案内するだけでござります……」

しいんとした声で言って、取り合おうともせずに小侍は本堂わきから裏へ廻ると、一杯の墓だ。

ハッとなったとき、だが、導き入れたところはそこではない。墓の中を通り越して、そこの柴折戸をしずかにあけると、目で笑いながら立っているのです。