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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁
「はっ……。お察しなされて下されませ」
「いや、よくぞ申された。それ聞かばさぞかし菊路も――いや、その契り交わした者とやらも泣いて喜ぶことでござろうよ。その者の兄もまたそれを聞かば、きっと喜ぶでござりましょうよ。だが、少し不審じゃな。お杉の方と言えば仮りにも十二万石の息のかかったお愛妾。にも拘らず、かような場所へそこ許を掠って参るとは、またどうしたことじゃ」
「別にそれとて不審はござりませぬ。こちらの丁字様は以前お屋敷に御奉公のお腰元でござりましたのが、故あってこの廓に身を沈めましたので、そのよしみを辿ってお杉の方様が、手前にあのような偽の手紙を遣わしまして、まんまとこのような淫らがましいところへ誘い運び、いやがるものを無理矢理に、今ごらんのようなお振舞いを遊ばされたのでござります」
言ったとき――、物音で知ったものか、強刀をひっさげて、突然そこに姿を見せた者は更に意外! まぎれもなき宵のあの赤谷伝九郎でしたから、退屈男の蒼白な面にさッと一抹の怒気が走ると、冴えた声が飛んで行きました。
「さてはうぬが、この淫乱妾のお先棒になって、京弥どのを掠ってまいったのじゃな」