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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

「か、可哀そうに! なにをなさります! なにをむごいことなさります!」

打ちおどろいて、言う声もおろおろと若者が涙ぐんだのを、

「ざまをみろ! 罪あらば斬って差支えないと申したゆえ、罪ある馬を成敗したのじゃ。勝手に吠えるといいわッ」

憎々しげに言ってすてると、ひらりと馬の背に打ち跨りながら一散走りでした。

「まてッ。馬鹿者! 待たぬかッ。馬鹿者!」

同時に退屈男が呼び叫びながらそのあと追いかけていったが、もう遅い。対手は小憎らしいことにも馬上なのです。並木の松に砂塵を浴びせながら、すでにもう遠く街道の向うでした。

「ヘゲタレよ喃。あれこそまさしく京できいたヘゲタレじゃ」

苦が笑いしながらとって返すと、血の海の断末魔の悲しい嘶きをつづけながら、のたうち苦しんでいる愛馬の首を、わが子のようにしッかと抱きかかえて、声も絶え絶えと嘆き悲しんでいた若者へ、詑びるように呼びかけました。

「許せ、許せ、身共の扱いようがわるかった。あのような情知らずの奴等と分らば、手ぬるく致すではなかったに、馬鹿念押して馬を成敗致すとは、奴なかなかに、味をやりおったわい。さぞ無念であろうが、嘆いたとて詮ないことじゃ。