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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 頁

青空文庫

かいつまんで事の仔細を申せ」

「それが今も申し上げた通り、仔細もへちまもねえんですよ。御前の前で素のろけらしくなりやすが、ちっとばかり粋筋な情婦がごぜえやしてね、ぜひに顔を見てえとこんなことを吐かしがりやしたので、ちょっくら堪能させておいて帰ろうとしたら、何よどう人間違げえしやがったか、身には何も覚えがねえのに、役人共が張ってやがって、やにわに十手棒がらみで御用だッと吐かしゃがッたので、逃げつ追われつ、夢中であそこの塀をのりこえてめえりやしたが、もっけもねえ。それが御前のお屋敷だったと、只これだけの仔細でごぜえます」

「でも、そち、そのふところにドスを呑んでいるようじゃが、何に使った品じゃ」

「えッ――なるほど、こ、こりゃ、その、何でごぜえます。情婦の奴が、こんな物を知合の古道具屋が持ち込んで来たが、女には不用の品だから何かの用にと、無理矢理持たして帰しやしたのを、ついそのままにしていただけのことなんでごぜえますから、後生でごぜえます。もう御勘弁なすって、どこかそこらの隅へ拾い込んで下せえまし」

「ちとそれだけの言いわけでは、そちの風体と言い、面構えと言い、主水之介あまりぞっとしないが、窮鳥ふところに入らば猟師も何とやらじゃ。