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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

それほど売込んだ伊豆熊という名である。が、これは、格別、いさくさのないごくあたりまえの、入れごみ鰻屋である。

わたくしの子供の時分、田原町の、いま川崎銀行のある角に、鰻をさきながら焼いている小さな床見世があった。四十がらみの、相撲でもとりそうに肥った主人が、二人の、年ごろの娘たちと、十三四になる悪戯な男の子とを相手に商売をしていた。外に、みるから気の強そうな、坊主頭の、その子供たちにおじいさんと呼ばれている老人がいたが、そのうち、鰻屋をよして、広小路に、夜、天麩羅の屋台を出すようになった。種のいいものを使うのと、阿漕に高い銭をとるのとで、わずかなうちに仕出し、間もなく、今度は、伝法院横町の、待合のあとに入って店を出した。――それがいまの中清である。

うまいからいいといえばそれまで、ここのうち、あまりにすべてが無作法すぎる。――座敷の汚さ、器具の悪さ、女中の無精ったらしさ。――いかな贔屓眼を以てしてもわれわれには折合えない。

天勇は仲見世の裏にある古いうちである。天麩羅の外に小料理もする、気の張らない、億劫なところのない、広小路の天芳とともにあくまで浅草むき、田舎の人向に出来上っているうちである。