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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

――ときに手品の種明しや親孝行は針のめど通し……そうしたものがそれらの店のあいだに立交るだけだった。だから、それは、「仲見世」に属して、そこと「公園」とを結びつける往来とよりも、離れて「伝法院」の裏通りと別個にそういったほうが、より多くそこのもつ色彩にふさわしいものがあった。――と同時に「伝法院」の裏門がもとはああしたいかめしいものではなかった。いまの、もっと、向って右よりに、屋根もない「通用門」といった感じの、ごくさびしい雑な感じのものだった。

が、それはひとりその往来ばかりでなかった。「仲見世」のもつ横町すべてがそうだった。雷門を入ってすぐの、角にいま「音羽」という安料理屋のある横町、次の、以前「天勇」の横町といった、角にいま「金龍軒」という西洋料理のある横町、そのつぎの、以前「共栄館」の横町と呼ばれた、いまその角に「梅園」のある横町、右へとんで蕎麦屋の「万屋」の横町――それらの往来すべてがつい十四五年前まで、おかしいほど「仲見世」の恩恵をうけていなかったのである。お前はお前、わたしはわたし、そういったかたちにわかれわかれ、お互が何のかかわりも持たず、長い年月、それでずっとすごして来たのである。