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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

――その障子をあけたすぐのところが天井の低い六畳の座敷になっていて、そこに細長い、張板をわたしたような机が三方に用意されてあった。午後から夜にかけて、すくないときで十四五人、多いときでその倍の人数が、のべたらに、いれかわり立ちかわりそのまえにすわった。――勿論われわれのような小学生ばかりでなく、むしろ半分は中学や実業学校へかよっている学生たち、まれに田町あるいは馬道あたりのあきんどやの前垂がけの若い番頭たちさえその中にまじっていた。

その机のまえにすわった先生の恰好もはッきりわたしはおぼえている。学校でのきゅうくつな洋服をぬいだ先生は、ボタンで手首を止めるシャツにもめんのごつごつした縞の着物、おなじく白いもめんの兵児帯をきちんとうしろで書生のように結んでいた。そうしてそう和服形になっても、ごまかしのきかない先生、油断の出来ない先生、だらしのないことの大嫌いな先生、という感じは決してわれわれのまえから消えなかった。学校でみるとすこしも違わない、剛毅そのもの、果断そのもののように、ずんずんとそれぞれの、あるいは日本外史を、あるいは方丈記を、あるいはナショナルリーダーを、明快に、敏捷に、そうして親切に片附けて行った。