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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
かわることなく、飽くまでしずかに、月も花もよそにくらしていたのである。――おそらく先生にしたら、髪の毛のだんだん薄くなって来たことも眉にしらがのまじって来たことも、それほどはッきり……たとえばはじめてそれをみ出したときにあってもそれほどはっきり老年の寂しさのわいて来るのを感じられなかったにちがいない。……と、わたしはそのとき、うそもかくしもなくそう思った。
「戯、戯談だろう、とんだこった。」
が、間もなくわたしは、むかし一しょに今戸橋をわたった仲間の一人によってあまりにそのいわれないのをわらわれた。わたしの思いえたことのあたらなすぎるほどあたらないのをむしろふびんがられた。
「なぜ?……どうして?……」
決して負けずにわたしはいった。
「どうしてって、君。」
むかしの仲間はそういったあとでくわしくそのわけを話してくれた。
……わたしは聞いたままをいうであろう。その二十幾年のあいだに先生、長い間の道づれだった奥さんをなくされた。そのあと二度目に迎えた奥さんにもすぐ先立たれた。その長いことの、かさねがさねの重病人をかかえての不幸な生活……そのあとに来た子供さんたちをかかえての不自由なやもめぐらし。