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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁

青空文庫

たのれんの中に、一人さびしく、むかしながらの長い箸をもちつづけている天麩羅やもある。……わからないのは人の運の、星をやどした夕ぞらを仰ぐにつけ、浅草に蝙蝠がとばなくなってもう何年になるだろう?……いつもわたしはそう思うのである。

*

すしや、天麩羅や、おでんや、と、むかしのそこのすさまじいけしきをそのまま、いまでも浅草の夜店は食物やで埋っている。そしていまは、その鮨や、天麩羅や、おでんやの中に、支那蕎麦が入り、一品洋食が交り、やきとりが割込んでいる。……といったら、あるいは人は、やきとりはむかしからある、そういってわたしをわらうかも知れない。が、以前のそれは、たとえば源水横町の金物屋の角に、目じるしの行燈をつけ、提燈屋だの炭屋だのをその環境にもちつつ、ほそぼそと、じいさんばァさんで七輪の火を熾していた底のしがない店の所産だった。いまのそれは、支那蕎麦、一品洋食とともに、すし、天麩羅、おでんの屋台の古風に、飽くまで強情に、色の褪めた紺のれんをうち廻すに対し、このほうは、哀しくも滑稽な時代相を語るかに、天竺もめんの白い、うす汚れたカーテンを後生大事にどの屋台もが下げている……そうした店からの所産である。