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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
のならびにそれの古い店があった。夫婦かけむかいでやっていたが、そろって両方が浄瑠璃好き、ときどきわたしでも細君が三味線をひき、そのまえで主人の首をふりふり夢中でそれを語っているのを店のかげにみたことがあった。しかく大まかな世せかいだった。電車も通らず、自動車も響かず、柳の葉のしずかに散りしいたわけである。――前にいうのを忘れたが、その時分まだ「ちんや」は牛肉屋をはじめなかった。ヒマな、客の来ない、景気のわるい天麩羅屋だった。……その人形焼を、提燈、鳩、五重の塔、それぞれ「観音さま」にちなみあるものに仕立てて「名所焼」と名づけたにすぎなかったが、白いシャツ一つの男が店さきで、カンカン熾った炭火のまえにまのあたりそれを焼いてみせるのが人気になったのである。そうして長い月日のうち、とうとういっぱしの、そこでの名代の店の一つになったのである。――ということは前にいった、あらわにそれを模倣する店の一二軒といわず続いてあとから出来た奴である。
こうして、いま「仲見世」に、「煎豆」「紅梅焼」「雷おこし」以外の新しい「浅草みやげ」が出来た。「煎豆」「紅梅焼」「雷おこし」