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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
一方の側は、こッち側の大和銀行に対して、大正海上、及び、山屋食料品店の、その隣は、“すしや横町”の入口にすでに引ッ越した(というあいさつを店のまえに大きく貼りだした)葉茶屋の井筒屋だった。
その隣にも、もぬけの穀の空家になった店が二三げん。……その一けんのまえには、板がこいができて、すでにつぎなる芸当の、改築工事にとりかかっていた。
つづいて、そのあとに、同和火災海上だの、東京銀行だの……
ぼくは、驚いた。
――これでいいのか?
と、ぼくは、おもわず、呟いた。
だって、そうではないか。……み渡すかぎり……すくなくも、ぼくの目のとどくかぎりで、そこに建っているものといったら、銀行と会社の、そうしたビル仕立の大きな建物ばかりではないか。……あたりまえの、個人の経営する商売屋といったら、東京海上火災と埼玉銀行のあいだに挟って、小さな旅館が一けん、身を縮め、辛うじて呼吸をしているだけではないか……
井筒屋の引っ越したのも、それにつづいての二三げんの空家になったのも、おそらく……ではない、まちがいなく、またしても、そこに、大きな身上の、銀行あるいは会社ができるにちがいない……