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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
をもっていたのをもって松田の横町(それはまた、その左かどに牛肉屋の「いろは」をもっていた理由でいろはの横町とも呼ばれた)――で、「でんぼん横町」とは「伝法院横町」の謂、「ちんやの横町」とは文字通りちんやの横町の謂である。そういえば誰でも知っている大衆向の牛肉屋「ちんや」の横町である。――由来はいたって簡単である。
このうちいま残っているのは「ちんやの横町」だけである。「ちんやの横町」という称呼だけである。浅倉屋の露地だのたぬきや横町だのに、行きつけのカフェエをもつほどのいまのそのあたりの人たちに「源水横町」といういい方は空しい響きをしかすでに与えなくなった。それと同時に「これという名をもたない横町」は「川崎銀行の横町」という堂々としたいいかたをいつかもつようになった。わたしのその町を去ったあと、それまでの際物問屋、漬物屋、砂糖屋その外一二けんを買潰して出来たのがその銀行である。いまでこそ昼夜銀行が出来、麹町銀行がまた近く出来ようとしているものの、いまをさる十二三年まえにあっては、そうした建物を広小路のうちのどこにももとめることが出来なかったのである。