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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《浅草風土記(あさくさふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 頁
――その描写の対象がまた小梅である、柳島である、浜町河岸である、今戸橋である、山谷堀である、公園裏である、観音さまの境内である、宮戸座の立見場である。――そうして季節は、秋から冬、冬から春。――子供の時分から東京住居をしつづけたものにとって、最も感じの強い、愛着の深い期間である……
実際、わたしにとって「たけくらべ」を読んだとき以来の歓びだった。
が、その美しいすぐれたいろいろの描写のうちでも、とりわけ深くわたしのこころに喰入ったのは「宮戸座の立見場」と「今戸橋」界隈との部分である。まえのものについてはしばらく措く。あとのものについては、それこそ、そこに描かれた光景こそ、わたしの十四五の時分から震災直後まで残っていたそのあたりの古い光景である。わたしにとって忘れることの出来ない古い光景である。
「そこ此処に二三軒今戸焼を売る店にわづかな特徴を見るばかり、何処の場末にもよくあるやうな低い人家つづきの横町である。人家の軒下や露地口には話しながら涼んでゐる人の浴衣が薄暗い軒燈の光に際立つて白くみえながら、あたりは一体にひつそりして何処かで犬の吠える声と赤児のなく声が聞える。