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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
軟禁の形で休業していた銀子も、その前後からまた蓋を開け、気晴らしに好きな座敷へだけ出ることにしていたが、田舎から帰って来た栗栖にもたまに逢うこともできた。
「帰って来た途端に、妙なことを聞いたんだが……。」
一昨日帰ったばかりだという栗栖に、梅の家の奥の小座敷で逢った時、彼はビールを呑みながら言い出した。病院の帰りで時間はまだ早かった。
銀子はもう帰る時分だと、いつも思いながら、病院へ電話をかけてみても、まだ帰っていないと後味がわるいし、家へ訪ねて行っても同様に寂しいので、帰って来ればどこかへ来るだろうと、心待ちに待ち、電話の鈴が鳴るたびに胸が跳り、お座敷がかかるたびに、お客が誰だか箱丁に聞くのだったが、親爺が見番の役員なので、二人を堰き止めるために、どんな機関をしていないとも限らず、気が揉めているのだった。しかし逢ってみると、一昨日帰ったばかりだというので、ほっとしたが、「随分遅かったわ」とも口へ出せずにいるところへ、栗栖にそう言って目をじっと見詰められ、銀子は少し狼狽えた。
「まあ一杯呑みたまえ。」
栗栖はコップを差して、ビール壜を取りあげた。