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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

「しばらくだったね。」

と言って銀子に差すのを、銀子は銚子を取りあげて酌をした。

「君がこんなところへ来ていようとは思わなかったよ。」

「私もくウさんがこんな処へ来ようとは思わなかったわ。」

「いつ来たんだい。」

「この正月よ。」

窶れていた千葉時代から見ると、銀子も肉がつき大人になっていた。

お安くないなかと知って、みんながわいわい囃すので、銀子も銀行家の座敷へ逃げて来たが、広間で呼ぶ声がしきりに聞こえ、女中も呼ぶので再び出て行き、陽気に三味線などひいてわざと躁いだ。

それから一度栗栖らしい口がかかって来たが、倉持の座敷へ出ていたので逢えず、病院へ入ってから、どこで聞きつけたか、見舞に来てくれたが、銀子も今はかえって世間が憚られ、わざとよそよそしくしていた。

「ここへ入院するくらいなら、なぜ僕にそう言わなかったんだ。」

栗栖は云っていた。

銀子の病室は、交りばんこに罐詰の水菓子や、ケ―キの折などもって見舞がてら遊びに来る、家の抱えや本家の養女たちで賑わい、河の洲に工場をもっている罐詰屋の野良子息や、道楽半分に町に写場をもっている山手の地主の総領子息も、三日にあげず訪ねて来た。