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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
山路と二人でそうしている時に、表の方でにわかに自動車の爆音がひびいたと思うと、ややあって誰か上がって来る気勢がして妹の声が廊下から彼女を呼んだ。――葉子はそっと部屋を出た。妹は真蒼になっていた。一色が来て、凄まじい剣幕で、葉子のことを怒っているというのだった。
葉子は困惑した。
「そうお。じゃあ私が行って話をつける。」
「うっかり行けないわ。姉さんが殺されるかも知れないことよ。」
そんな破滅になっても、葉子は一色と別れきりになろうと思っていなかった。たとい山路の家庭へ入るにしても、一色のようなパトロン格の愛人を、見失ってはいけないのであった。
葉子が妹と一緒に宿へ帰って来るのを見ると、部屋の入口で一色がいきなり飛びついて来た。――しばらく二人は離れなかった。やがて二人は差向いになった。一色は色がかわっていた。女から女へと移って行く山路の過去と現在を非難して、涙を流して熱心に彼女を阻止しようとした。葉子も黙ってはいなかった。優しい言葉で宥め慰めると同時に、妻のある一色への不満を訴えた。しゃべりだすと油紙に火がついたように、べらべらと止め度もなく田舎訛の能弁が薄い唇を衝いて迸しるのだった。