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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
た。間もなく書斎へ引き揚げた。庸三は一枚あけて行った雨戸を締めながら、暗い空を覗いていたが、
「静かな晩ですね。もう帰ってお寝みなさい。」
「遅くまでお邪魔しまして。では先生もお寝みなさい。」
葉子はそう言って帰って行ったが、庸三は後で何だか好い気持がしなかった。自身が醜いせいか、男女に限らずとかく美貌に憧れがちな彼なので、初めて松川と一対でやって来た時のブルジョア夫人らしい葉子や、小劇場で見た時の浴衣がけの窶れた彼女の姿――特にも頬のあたりの媚めかしい肉の渦など、印象は深かったが、彼女の過去と現在、それに二人の年齢の間隔なぞを考えると、直ちに今夜の彼女を受け容れる気にもなれなかった。
多分葉子に逢っての帰りであろう、翌日一色がふらりとやって来た。庸三は少し中っ腹で昨夜の葉子を非難した。
「山路草葉から僕んとこへまで渡り歩こうという女なんだ。あれが止まなくちゃ文学なんかやったって所詮駄目だぜ。」
「そいつあ困るな。実際悪い癖ですよ。いや、僕からよく言っときましょう。」
一色は自分が叱られでもしたように、あたふたと帰って行った。
それよりも庸三は、寂しい美しさの三須藤子を近づけてみたいような気がしていた。