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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
彼は堅く結婚を否定していた。今からの結婚が経済的にも精神的にも、重い負担であるのはもちろんであった。子供だけで十分だった。
窓帷をひいた硝子窓のところで、瀬戸の火鉢に当たって小説の話をしていると、電話がかかって来て、葉子は下へおりて行った。
「一色?」
部屋へ入って来た時の葉子の顔で、庸三は感づいた。
「自動車を迎いによこすから、ちょっと附き合ってくれと言うんですのよ。先生さえ気持わるくなかったら、話をつけに行こうと思いますけど……。」
「そうね、僕はかまわないけど。」
「私悪い女?」
庸三は笑っていた。
「行ってもいい? 断わった方がいいかしら。」
「とにかく綺麗にしなけりゃ。」
「きっとそうするわ。ではお待ちになってね。九時にはきっと帰りますから、お寝みになっていてね。きっとよ。げんまん!」
葉子はそう言って指切りをして出て行った。
庸三は壁ぎわに女中の延べさしてくれた寝床へ潜りこんだが、間もなく葉子附きの、同じ秋田生まれの少女が御免なさいと言って襖を開けた。庸三は少しうとうとしかけたところだったが、目をあげて見ると、彼女は青いペイパアにくるんで紐で結わえた函を枕元へ持ち込んで来て、