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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
駅へは葉子の母と妹、縁続きになっている土地の文学青年の小山、そんな顔も見えた。家は真実そんなでもなかったけれど、美事な糸柾の杉の太い柱や、木目の好い天井や杉戸で、手堅い廻船問屋らしい構えに見受けられた。裏庭へ突きぬける長い土間を隔てて、子供の部屋や食堂や女中部屋や台所などがあった。挨拶がすんでから、庸三は二階へ案内されたが、そこには広い縁側に古びた椅子もあった。そこの広間がかねがねきいている、二日二晩酒に浸っていた松川との結婚の夜の名残りらしかったが、彼女は多分草葉を連れて来た時もしたように、彼をその部屋に見るのが面羞ゆそうに、そっと寄って唇づけをすると、ぱっと離れた。足音が段梯子にした。
「母はちっとも可笑しくないと言ってますのよ。」
高い窓をあけて、碧い海を見たりしてから下へおりた。葉子の着替えも入っている彼のスウトケイスが、井戸や風呂の傍を通って、土間から渡って行く奥の離れの次ぎの間にすでに持ち込まれてあった。
葉子はそこへ庸三を案内した。
「本当にお粗末な部屋ですけれど、父がいつけたところですの。父は誰をも近づけませんでしたの。ここで本ばかり読んでいましたの。