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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
一色はタキシイを飛ばして来た。
「葉子さんいないんですてね。」
庸三はわざと一色が知らないようなふうにして、葉子の出て行った前後の話をした。――郵便の消印のことも。
「それですと、替り目の活動館を捜すのが一番早いんだ。替わるのは木曜ですからね。あの人の行きつけは南明座ですよ。」
「南明座かしら。」
庸三は幾度も同伴したシネマ・パレスを覗いてみようかと一度は思ったこともあったが、当てなしの捜索は徒らに後の気持を寂しくするにすぎないのに気づいていた。もしかしたら誰か若い人とアベックだかも知れないという畏れもあった。
「もしそれでも知れなかったら、私、神田の警察に懇意な男がいますから、調べてもらえばきっと知れますがね。」
「いや、そんなにしなくたって……。」
「いずれそのうち現われるでしょうけれど。」
そう言って、一色はしばらく話しこんでから、警察の人への紹介を名刺に書いたりして、帰って行った。
翌日の午後、庸三は神田の方へ出向いて行った。何ということなし子供も一緒だった。そして猿楽町辺をぶらぶら歩きながら、二三軒の旅館を訪ねてみたが、子供に興味のあるはずもないので、古本屋をそっちこっち覗いてから、神保町の盛り場へ出てお茶を呑んで帰って来た。