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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
たりになってからも、病躯をかかえて各地へ商取引をやっていた。瑠美子が産まれてから間もなくその父は死んだが、葉子を特別に愛したことは、その日常を語る彼女の口吻でも解るのであった。学窓に蔓っていた学生同志の同性愛問題で、そのころ教育界を騒がしたほどの女学校だけに、そしてそれがまた生徒と教師との恋愛問題をも惹き起こしただけに、多分処女ではなかったらしい彼女の派手な結婚の支度や、三日にわたった饗宴に金を惜しまなかった張り込み方を考えても、父の愛がどんなに彼女を思い昂らせたか想像できるのであった。
葉子の話では結婚の翌日、彼女は二階の一室で宿酔のさめない松川に濃い煎茶を勧めていた。体も魂も彼女はすっかり彼のものになりきった気持であった。彼女は畳に片手をついて吸子のお茶を茶碗に注いだ。彼の寝所へ入ったのは、すでに一時過ぎであった。その時まで彼は座敷で方々から廻って来る盃を受けていたので、窓が白むまで知らずに爛睡していた。
朝のお化粧をして、葉子が松川と差向いでいるところへ、にわかに段梯子に跫音がして、最初この結婚を取り持った葉子の従兄筋に当たる男が半身を現わした。