輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

幕数が進むに従って、庸三はようやく落着きを失って来た。芝居を見たいことも見たかったが、逢いに行ったホテルの一室の雰囲気も気にかかった。こんな享楽場で同伴を待つということは、相手が誰であるにしても、とかく神経質になりがちなものだが、この場合の庸三は特にも観劇気分が無残に掻き乱された。彼はしばしば場席を出て、階段口まで出て行ったが、到頭入口まで出向いて行って、その時になってもなおたまには自動車を出て来る人を点検しながら、その辺をぶらついていた。そうしているうちに苛々しい時間が二時間も過ぎてしまった。果ては神経に疲れが出て来て、半分は諦めの気易さから、わざと席に落ち着いていた。肝腎の中幕の大晏寺がすでに開幕に迫っていた。舞台裏の木の音が近づいて来た。

そこへ葉子がふらふらと入って来た。

「どうもすみません。待ったでしょう。」

葉子はそう言って庸三の傍に腰かけた。

「でもよかった。今中幕が開くところだ。」

「そう。」

葉子は頷いたが、顔も声も疲れていた。

庸三は窶れたその顔を見た瞬間、一切の光景が目に彷彿して来た。葉子のいつも黒い瞳は光沢を失って鳶色に乾き、唇にも生彩がなかった。