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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

庸太郎はちょうど風呂に入っていた。葉子は紹介者の庸太郎も乗り超えて、すでにその青年と心持の接触を感じていたらしい折なので、風呂へ入っている庸太郎の方へも何か愛嬌を振りまいていた。

「お風呂のお加減いかが。」

などと湯殿の方へ声かけたりしていた。

含羞んだふうで硬くなっている青年園田を見たとき、その俊秀な風貌と、すくすくした新樹のような若さに打たれながら、庸三の六感に何か仄かな予感の影の差して来るのを感じはしたが、それはむしろ客観的な美しい幻影のようなもので、もし卑しい嫉妬という感情がいくらかあったとしても、それは理性の力で十分抑制しうる程度のものであった。この年下の純白な若ものを涜すようなことは、さすがに葉子も差し控えなければならないことだし、何も事件の起こる気遣いはなさそうにも思えたが、この海岸へ来る時、すでにこの青年の存在が、彼女の頭脳に何らかの形で意識されていたに違いないのだし、撞球場での初めての印象を想像してみても運命のプログラムには、疾くに何らかの発作的な事件が用意されてあるようにも思えた。

しかしそれはそれとして、彼は今そのことをすっかり忘れたように、憂鬱で険悪な逗子の家からもしばらく離れていた。