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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

」

庸三は今少し迹をつけてみたいような気もした。

逗子へ行った権藤が帰って来たのは、その夜の八時ごろであった。庸三はちょうど寝転んでストリンドベルグの戯曲を読み耽っていた。

「葉子さん、椅子と茶呑み台とを庭へ持ち出して、ベレイなんか冠って、原稿書いてましたよ。僕が行くと、警戒したようでしたが、お金は欲しいらしいんです。明日あたりちょっと東京へ出る用事もあるから、その時先生にもお逢いしたいというんです。」

権藤はその場所と時間を決めて来たことをも報告した。

その日になって、庸三は少しばかり金を用意して、行きつけの上野の鳥料理へ行ってみた。そこには広い宴会席が二階にあって、下は漫々とした水のまわりに、様式に変化をもった小窓が幾箇もあった。山がかりの巌から、滝が轟き流れおち、孟宗竹の植込みのあいだから、夏は燈籠の灯が水の飛沫をあびて、涼しい風にゆらぐ寒竹や萩のなかに沈んでいた。

庸三はその時、宴会場とちょうど反対の側にある、一室離れた二階の小間で持出し窓に腰かけながら、目の下に青黄色い孟宗の枝葉を眺めながら、葉子の来るのを待っていた。

やがて葉子がやって来たが、園田を銀座のモナミかどこかで待たせてあるというふうであった。