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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

「ああ、先生。私よ。」

「どうしたんだ。どこにいるんだい。」

「安栄旅館よ。先生にお話ししたいことがあって、今出て来たばかりよ。御飯食べながら聴いていただこうと思って。」

「何だろう。」

「来てよ。すぐよ。」

庸三は懲りずまに、また葉子に逢いに行った。

葉子は前二階の部屋にいた。スウト・ケイスやハンドバッグが床の間にあって、旅行からでも帰って来たようなふうで、髪も化粧も崩れていた。

「どうもすみません、お呼び立てして……。」

彼女は金屏風のところにあった座蒲団をすすめたりした。

「スウト・ケイスどうしたの。旅行?」

「そのつもりでしたのよ。私たちを保護してくれることになっている、園田の従兄の黒須さんね。あの人がどうも不安なのよ。」

「どう不安なのさ。」

「あの人が私に色気をもつからいけないのよ。」

なるほど! と庸三は思った。

「それにあの人こわいのよ。もと外務畑の人だそうだけれど、今は院外団か何かでしょうか、乾分も多勢あるらしいの。別に悪い人でも乱暴な男でもなさそうだけれど、ちょっと気のおけないところがあるのよ。男前も立派だし、年も若いわ。奥さんもインテリでいい人なんだけれど、どうもあの人、私に対する態度が変なのよ。