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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
今度は本物かも知れませんよ。」
「そうですか。僕は葉子さんが、あの断髪にした時に、あの人の心の動きというか、機微というか、何かそういうものを感じましたよ。」
そんな話がしばらく続いた。
「お書きになるんだったら、この話が巧く進行するように書いて下さい。葉子は世間が言うほど悪い女でもないんですよ。もちろん打算もあるし、野心的なところもありますが、大体が最初の結婚の出発点が悪いんで、あんなふうに運命が狂って来ているんです。文学的才能だって、伸ばせば伸びるはずなんですが、夢というか慾望というか、いつもそれに負けてしまうんです。」
「しかし先生のお心持はどうですか。今までじっとあの人を見詰めておいでになって……。」
「いや、見詰めてもいなかったんですが、何か始終求めて止まないものがあるんですね。」
庸三はそう言って、ぽつぽつ本音の憎悪の言葉を口にし初めた。そして最後に、
「これはここだけのお話ですから、どうぞそのつもりで。私一箇の批判ですから、書いちゃいけないんです。」
葉村氏はやがて帰って行った。
翌朝十時ごろに帳場へ出て行ってみると、そこに庸太郎がすでに起きていて、葉村氏の勤めている社の朝刊を拡げて読んでいた。