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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

「どこかへ行きましょうよ。私さっきちょっとお宅へも行ってみたのよ。すると一時間ほど前に権藤さんが旅館へやって来て、先生んとこの庄治さんが今お酒に酔って、貴女をやっつけると言ってるというのよ。とにかく出ましょう。こちらも迷惑よ。」

二人はまた外へ出た。通りでは店屋はどこも締まっていた。横町のカフエや酒場からの電燈の光が洩れているきりだった。スピイドをかけた自動車が、流星のように駒込の方へと通りすぎた。そのうちに空車が一台やっと駒込の方からやって来たので、急いでそれに乗った。

乗り入れたのは、西北の方角に当たる町なかの花柳地だったが、時間過ぎなのでどこも森としていた。葉子は広い通りに露出しになっている、一軒の家の前で車をおりて、勝手口の方へまわって、「おばさん、おばさん」と言って、木戸を叩いていたが、しばらくしてから内から返辞があった。

「私来たことあるのよ。解るでしょう。でも蔑視まないでね。」

そう言われて、庸三はたちまちあの青年一色のことが思い出された。

「あの人芝居道の人なんかと、この家へ遊びに来たものなのよ。」

やがて玄関の方の戸があいたので、そこから上がって、奥二階の静かな部屋へ落ち着いた。