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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁
雰囲気も険悪であった。ちょうど帰りぎわに均平に送られて、玄関へ出て来た時、ちろちろと飛び出して来たのは、九つか十の加世子で、誰かが窘めるように「加世子さんいけません」と緊張した小声で言っていたのが、銀子の耳に残った。
銀子はちらとそのことを思い出し、あながちにそのためとも言えなかったが、強いて加世子を引き留める気にもなれなかった。
「風呂へでも入って、ゆっくりしていらしたらどう。」
「ええまた。黙って帰っても悪りんですけれど、あまり遅くなっても。」
「そうお。」
加世子は女中に切符を買わせ、もう一度銀子にお辞儀をして、改札口から入って行ったが、銀子はいつまでもそこに立っていた。還して悪いような気もした。
やがて列車が入って来て、加世子たちの乗りこむのが見え、乗りこんでからも、窓から顔を出して軽く手を振った。思い做しか、涙をふいたようにも見えた。銀子も手を振った。
ホテルへ帰ると、均平はちょうど一ト風呂浴びて来たところであった。
「どうした?」
「方々買いものして駅で別れてしまいましたわ。」
「そう。」
均平は椅子に腰かけ、煙草にマッチを擦ったが、侘しい顔をしていた。