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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 327,364 字 · 638 頁

青空文庫

この見えと打算とが、いつも庸三の腹のなかで秤にかけられ、その双方が互いに上がったり下がったりしていた。

それに庸三は暮に師匠と清川の訪問を受け、何か思いがけないお歳暮まで貰っていた。ちょうど葉子も来ている時で、その贈物が二人を祝福するようにも取れたが、少し感潜って考えると、すでに庸三から離れてしまっている、このごろの葉子の気持を汲んでか、事によると今一歩進んで、師匠の斡旋によって、庸三の怒りを買うことなしに、穏和な解決を得ようとする手段の一つのようにも取れないこともなかった。もちろんその時の庸三に、そこまで見透しのつくはずもなかったし、朗らかな師匠の談話や態度にも、そんな影は少しも差していなかったが、清川の態度には暗示的なものがないとは言えなかった。彼の若さと正直さは、この老作家の前にいい加減なお座なりは言ってはいられなかった。

「もう少し何とか巧く行きそうなものだと思いますがね。」

清川は歯痒そうに言うのであった。さながら清川自身だったら、もっと彼女を幸福にすることも、巧くリイドすることもできるはずだと言っているようであった。もしも庸三にもっと鋭敏な神経が働くか、理論的な頭脳があったら、多少挑戦的にも看らるる清川の言葉に躊躇なく応酬したに違いないのであった。